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2019年1月15日更新

加熱式タバコは日本だけ普及しているはなぜ?

2019年1月15日

加熱式タバコと電子タバコ
世界を見渡すと、加熱式タバコを認可している国は、どうでしょう。WHOの報告によると、2017年9月時点で、販売又は発売予定は、34ヶ国でした。アメリカは、未だに発売されていません。認可されていないからです。
一方、電子タバコを認可している国は多数あります。

まず、仕組みや内容の違いから。
加熱式タバコ=タバコ葉を熱し、ニコチンが含まれた水蒸気を吸引する。
電子タバコ=液状のリキッドを熱し、蒸気を吸引する。基本的にニコチンが含まれない。ニコチンリキッドを追加することも可能。
次は、産業や経済の視点から。
加熱式タバコ=JT、PMI、BAT他主に既存大手タバコ生産業者が参入。電子タバコ=中小の新規参入業者が主。
ここからは日本の話。
加熱式タバコ=タバコ葉を原料としていることからタバコ事業法が管理法。所管官庁は税務省。電子タバコ=ニコチンを追加すると薬事法の管理下になる。所轄官庁は厚生労働省。
日本の規制がねじれている要因がここにあります。税収を確保し、筆頭株主になっているJTを守りたい財務省、国民の健康を守る使命がある(最低限、守っているフリをしなければならない)厚生労働省が、連携できない不幸な縦割り行政が要因です。
結果的には、タバコ規制の千載一遇の機会を、加熱式タバコという抜け道によって失う危険に晒されている、奇妙な国になっているのです。

 

以下 東洋経済オンライン加熱式タバコの記事を転載〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
日本のみで繰り広げられている加熱式たばこ戦争。これは世界の潮流から外れたトレンドなのか。

ビジネスの世界で「ガラパゴス」と言えば、いいイメージがない。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら

1990年代から2000年代前半にかけ、日本の携帯電話は世界的に高い性能や機能を誇っていたが、日本という孤立した環境で最適化が著しく進んだ結果、世界市場では全く勝負できないものになってしまった。アップルのiPhoneをはじめとするスマートフォンが日本に押し寄せると、日本の「ガラケー」は駆逐されてしまう。悪しきガラパゴス化の例だ。

加熱式たばこは新たな「ガラパゴス」?

そんな日本で今、新たな「ガラパゴス」製品が出現しつつあるように思える。加熱式たばこだ。Ploom TECH(プルーム・テック)、IQOS(アイコス)、glo(グロー)という加熱式たばこ3製品が「三国志」さながらの激戦を繰り広げ、連日ニュースにも取り上げられているが、実はこの加熱式たばこが普及しているのは、世界でも日本だけと言っていい。

これらの加熱式たばこも、ガラケーと同じ運命を辿るのだろうか。いや、そうとは言えないだろう。

まず、日本のメーカーが日本市場で競い合っていた携帯電話と異なり、アイコスは米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)、グローは英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)と海外メーカーの製品。対するプルーム・テックは日本たばこ産業(JT)の開発したエマージングプロダクトだ。

海外企業が参入していることだけが理由ではない。日本市場はガラパゴスというよりむしろ、世界進出を見据えたテストマーケティングの市場だ。世界のたばこ市場はいま転換期を迎えており、従来の紙巻きたばこに代わる新型たばこに大きな注目が集まっている。その1つが日本で普及しつつある加熱式たばこで、実際、各社は日本を足掛かりに世界展開へと乗り出しているのだ。

アイコスは2014年に日本で先行発売されたが、「PMIは当初はテスト市場と考えていたはずだ」と野村證券アナリストの藤原悟史氏は言う。「想定を超える売れ行きがデバイス供給の問題に繋がったのだろう」

ここで整理しておくと、いわゆる新型たばこは2種類に分けられる。1つは欧米で主流の、たばこ葉を含まず、ニコチンを含む液体を加熱することで発生する蒸気を楽しむ製品。英語ではE-cigaretteやE-Vapor、Vapeなどと呼ばれ、日本語では「電子たばこ」と呼ばれる(ただし、加熱式たばこも「電子たばこ」と呼ばれる場合があり注意が必要)。

ロンドンを本拠とする大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤングのレポートによれば、電子たばこ市場は世界的に急成長しており、調査対象の7カ国(イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、ポーランド、ロシア、韓国)で2013~15年にユーザーが86%増えたという。2017年のグローバル市場は約120億ドルと推定されている。

もう1つの新型たばこが、加熱式たばこだ。たばこ葉を使うが燃焼させず、加熱により発生する蒸気を楽しむ製品で、英語ではT-VaporやHeat-not-burn tobaccoなどと呼ばれる。市場規模はグローバルで約50億ドル(2017年推定)だが、その9割が日本だ。

加熱式たばこは市場の24%強

日本ではニコチンが医薬品成分に指定されており、厚生労働省の認可が必要。ハードルが高いため液体ニコチンを使う電子たばこが実質的に販売できず、それゆえの加熱式たばこ人気というわけだ。

野村證券によれば、加熱式たばこは2017年に日本のたばこ市場全体の12%を占めていたが、2018年には24%強へと倍増、2019年は29%程度になると見込んでいる。急速に普及した要因は、電子たばこという選択肢がないことだけではない。「ここまで加熱式たばこが人気となったのは、においや副流煙で周囲の人に迷惑をかけたくないという周りに配慮する日本人の国民性、そして新しい物好きという国民性も理由だろう」と、藤原氏は言う。

要するに、紙巻きたばこから新型たばこへという世界的な潮流があるなか、2つの流派が生まれているということだ。

だが、ブルームバーグが「液体ニコチンでは十分な満足感が得られないと感じる消費者がいることから、加熱式たばこが開発された」と書くように、期待が高いのは、従来のたばこにより近いとされる加熱式たばこのほうかもしれない。市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルは、世界で今後2年、電子たばこより加熱式たばこのほうが成長率が高いと予測している。

実際、上述のように世界展開は早くも始まっている。JTは昨年、日本同様の規制があり電子たばこ市場のなかったスイスに、プルーム・テックを投入。PMIもアイコスを既に25カ国以上で販売し、電子たばこユーザーが増えつつあった韓国でも昨年発売している。

シェア争いのカギはシニア層へのアプローチか

まだ「戦国時代」の終わっていない日本ではどうなのか。「加熱式たばこは紙巻きたばこほど味やブランドに対するロイヤルティがなく、電子デバイスである以上壊れやすいため、ブランドスイッチが起こりやすい。シェアの奪い合いはこれから激しくなるだろう」と、野村證券の藤原氏は言う。「いまはアイコスが1位だが、誰しもが1位になれる市場だ」

今後のシェア争いのカギを握るのは、シニア層かもしれない。藤原氏によれば、喫煙者の40%強を50代が占めているが「彼らはなかなか加熱式たばこへと移らない。でも今後は、(JTの紙巻きたばこ愛煙者が多いこの層へのアプローチで)JTが強さを発揮するのではないかと見ている」。

シニア層へのアプローチでは、操作性という意味でもJTに分がありそうだ。デバイスを掃除する手間が要らない、待ち時間なくすぐに吸える、高温にならずそのままポケットにも入れられるなど、加熱式たばこ3製品の中で、最もシンプルで使いやすいのがプルーム・テックとされる。

JTは4月、アイコスやグローと同様の「高温加熱方式」の新製品(プルーム・テックは独自の「低温加熱方式」を採用している)と、プルーム・テックの進化版となる新製品の2種を早ければ年内に発売することを発表した。日本の加熱式たばこ戦争はますます激しさを増しそうだ。将来ここで覇権を握った者が、世界の新型たばこ市場を制すると言ったら言い過ぎだろうか。

 

加熱式タバコ「日本だけで大流行」という事実ニューズウィーク日本版

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